五木・五家荘「明日の遺産 九州」
観光地
奥深き山里で、平家の落人たちは遠き都をしのびました。
落人たちの舞い「久連子古代踊り」
平家の落人たちが都をしのんで舞ったとされる「久連子古代踊り」は、およそ千年の時を超えて受け継がれ、国の民俗重要無形文化財に指定されています。
この地にしか生息しない珍しい地鶏「久連子鶏」の尾羽で飾りつけた花笠をかぶるのが特徴で、黒く長い羽で顔を隠して踊るその姿は、都を追われた人々の悲しく切ない心境を切々と物語ってきました。
風雅な踊りは、落ちてもなお希望を失わず力強く生きた人々の、強さや品格をも感じさせます。
郷土料理「豆腐の味噌漬け」
五木・五家荘の集落には、壇ノ浦の合戦で敗れた平家の落人が隠れ住んだという伝説が残ります。
深い山々に囲まれたこの地は、かつて人が生活するには厳しい土地でした。栄華を極めた一族も狩猟や焼畑で飢えをしのいだと考えられます。「豆腐の味噌漬け」は、焼畑で収穫される貴重なたんぱく源・大豆を長期保存する知恵の傑作で、落人たちが生み出したといわれます。
たくましく生き延びた誇り高き人々の味と思いは、今も大切に伝えられています。